漬物を漬けるときの重石の重さはどれくらい?タルのサイズは?
野菜を塩漬して保存したい場合は、必ず重石を乗せますね。「重石はどれ位の重さでいいのか?」「タルのサイズはどのサイズ?」とよく質問されます。
重石を乗せるといっても、漬ける野菜の量によっても使うタルのサイズが違いますね。

今回は、野菜を漬けるときの重石の重さ・タルのサイズについてご紹介します。
いろいろなタルのサイズを知ろう!
タルの大きさは各メーカーで若干の大きさの違いがありますが、タルの大きさ・容量によって「○○型」の表記で作られています。

左の写真は15型・20型のタルです。15型は内径が約29㎝・高さが約26㎝のタルで、20型は内径が約32㎝・高さが約26㎝のタルです。
15型とはタルの容積が15ℓあるという意味で, 20型とは20ℓの容積があるという意味です。
個人的には15型サイズのタルが野菜が少量でも、多少多くても漬けることが出来ますので、使い勝手が一番いいと思います。
ホームセンターで購入できます。

左の写真は30型・75型のタルです。30型は内径が約40㎝・高さが約35㎝のタルです。30型とはタルの容積が30ℓあるという意味です。
75型は内径が約52㎝・高さが約45㎝のタルです。75型とはタルの容積が75ℓあるという意味です。
30型・75型のタル は野菜を大量に漬けるときに向いています。30型のタルはホームセンターで購入できます。 これ以外にもいろいろなタルのサイズがあります。
漬けるときに最適なタルのサイズ

さて、本題の漬物を漬けるときのタルのサイズについてですが、大まかですが漬ける野菜の量の約3倍の容量のタルに漬けることをオススメします。
例えば、野菜10Kgを漬けるときは、容量がの30型のタルで漬けると良いと思います。
左の写真は高菜5Kgを15型のタルに漬け込んだ様子です。

野菜と重石がきれいに収まるくらいが、重石もずれて落ちてくることもないので、安全面・管理面でもいいですね。
以上のことから、漬物を漬けるときは野菜の量によって、タルのサイズを選ぶか、タルのサイズに合わせたやさいの量を漬けましょう!
重石について知ろう!
重石の大きさ・重さは各メーカーで若干の大きさの違いがありますが、重石の重さによって「○○型」とか「○○」の表記で作られています。

一番左の写真は3.5型のタルです。内径が17.5㎝・高さが10㎝・重さが3.5Kgのタルです。
重石は同じマーカーの物ですと、重ねたときにずれないように、上面のでっぱりと底面の溝がハマるようになっています。

他にも5.5型(内径21㎝・重さ5.5Kg)、8.5型(内径25.5㎝・重さ8.5Kg)、12型(内径29.5・重さ12Kg)、15型(内径33㎝・重さ15Kg)、(いずれも高さ10㎝)の重石があります。 ホームセンターで購入できます。

左の写真は15型のタルに8.5型(8.5Kg)と5.5型(5.5Kg)の重石を乗せています 。
重石を選ぶ際には、タルに入る重石の内径に注意します。
漬物タルは底になるほど狭くなるので、重石の直径は余裕もっておきましょう。
重い重石が必要なときは、重い重石1個ではタルの内径に入らない場合があるので、写真のようにタルの内径に入る重石を複数重ねて乗せます。
漬けるときに重石を乗せる理由
野菜を(塩で)漬けるとは、野菜の細胞膜を塩の浸透圧で破壊して水分を出すことです。

野菜に塩を振って重石を乗せると、何日かすると野菜の水分が塩水となって上がってきます。
これが漬かっている状態ですね。重石を乗せることによって早く野菜の細胞膜を壊し、野菜の細胞内の水分・空気を出して、野菜全体を塩水で覆ってやることで野菜にまんべんなく塩分がいきわたります。
これが漬物で重石を乗せる理由です。

余談ですが、野菜を漬けるときに重石を乗せ、さらに塩水を足すことがあります。
これを差水といって、野菜が早く漬かって塩水で覆われるのを促進する効果があります。
特に固い野菜や、漬けたときに隙間が多かったり、早く漬け上がりが要求されるときに使います。

左の図は、野菜を漬けるときの塩の振り方、重石・差水を使った塩漬作業のイメージです。
塩は水に溶けると下部の方に沈む傾向があります。したがって、塩を振るときは下部には少なく・上部には多めに振ればまんべんなく塩分がいきわたります。
さらに、この塩の振り方で差水をすれば、下部の野菜から塩水にどんどんに覆われます。上部の野菜も徐々に塩水に覆われていき、最終的のは野菜全体が塩水に覆われ、結果的に漬け上がりが早くなります。
漬物を漬けるときに最適な重石
漬物を漬けるときの重石の重さは、専門家の先生方でもいろいろ記述の違いがあります。また、漬ける野菜の種類によっても、重石の重さは変わってきます。
ここでは、製造現場で実際に漬けた経験も踏まえておおよその各野菜を漬けるときの重石の重さをご紹介します。
①胡瓜の塩漬(1か月程度保管の場合)

生胡瓜 ー-- 10Kg
塩 ー-- 1.5Kg(胡瓜重量の15%)
重石 ー-- 5Kg(胡瓜重量の50%)
差水 ー-- 必要に応じて1ℓ
※塩水が上がってきたら軽い重石に変える
②茄子の塩漬 (1か月程度保管の場合)

生茄子 ー-- 10Kg
塩 ー-- 1.5Kg(茄子重量の15%)
重石 ー-- 10Kg(茄子重量の100%)
差水 ー-- 2ℓ
※塩水が上がってきたら軽い重石に変える
③大根の塩漬 (1か月程度保管の場合)

生大根 ー-- 10Kg
塩 ー-- 1.5Kg(大根重量の15%)
重石 ー-- 8~10Kg(大根重量の80~100%)
差水 ー-- 2ℓ
※塩水が上がってきたら軽い重石に変える
④瓜の塩漬 (1か月程度保管の場合)

生瓜 ー-- 10Kg(ワタをとったもの)
塩 ー-- 1.5Kg(瓜重量の15%)
重石 ー-- 10~15Kg(瓜重量の100~150%)
差水 ー-- 5ℓ
※塩水が上がってきたら軽い重石に変える
⑤白菜の浅漬 (1週間程度冷蔵保管の場合)

生白菜 ー-- 10Kg
塩 ー-- 0.5Kg(白菜重量の5%)
重石 ー-- 10~12Kg(白菜重量の100~120%)
差水 ー-- 5ℓ
※塩水が上がってきたら軽い重石に変える
野菜を漬けるときは、漬ける野菜の種類や、同じ野菜でも季節によって水分量・硬さの違いによっても漬かり方が違ってきます。夏の暑いときは早く漬かりますが、冬場はなかなか漬からないので重石を重めにします。
基本的には野菜重量の1倍~1.5倍程度の重さの重石を使えば大体漬かります。早く漬け上がりたいときは、少々重石を重めにして、差水を注ぎます。ただし、重石を重くし過ぎると野菜を生の状態でつぶしてしまうことがありますので注意しましょう。
参考ですが、漬物の専門家である前田安彦先生によると、漬けるタル(容器)が大きいほど重石は軽く、小さいほど重い重石が必要であるそうです。(前田安彦先生著:漬物学、幸書房より)
同じタルでも、15型と70型では野菜重量に対する重石の重さの割合が違ってくるということですね。
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